
収益物件の売却を検討する際、「税金はどれくらいかかるのか?」「節税できる方法はあるのか?」といった疑問を抱える方も多いのではないでしょうか。収益物件の売却は、単に物件を手放すという行為ではなく、税務上の処理や節税対策が極めて重要です。
この記事では、スペースエンタープライズ株式会社が、収益物件の売却時にかかる税金の仕組みと、知っておきたい節税方法について詳しく解説します。
■収益物件売却時にかかる税金の基本構造
収益物件を売却することで利益が出た場合、一定の税金が発生します。多くの方が誤解しているのは、「売却価格に対して直接税金がかかる」と思い込んでいる点です。
実際には以下の計算式に基づき、**譲渡所得(売却益)**を算出し、それに税率をかけて税額が決まります。
譲渡所得 = 売却価格 -(取得費 + 譲渡費用)
ここでいう「取得費」とは、収益物件を購入した際の金額や、購入にかかった諸費用(登記費用・仲介手数料など)を指します。また、「譲渡費用」とは、売却のためにかかった費用(仲介手数料・測量費・広告費など)が該当します。
たとえば、3000万円で購入した物件を4000万円で売却し、売却に関わる費用が200万円だった場合、
譲渡所得 = 4000万円 -(3000万円 + 200万円)= 800万円
この800万円に対して税率をかけることで納税額が決まる仕組みです。
■長期譲渡所得と短期譲渡所得の違い
税率は、収益物件の所有期間によって異なります。
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短期譲渡所得(所有期間が5年以下)
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所得税:30%
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住民税:9%
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合計税率:39%
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長期譲渡所得(所有期間が5年超)
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所得税:15%
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住民税:5%
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合計税率:20%
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5年を超えて所有しているかどうかで、税率に大きな差が出るため、売却タイミングは慎重に検討する必要があります。とくに節税を意識する場合は、売却を1年待つだけで納税額が大幅に変わる可能性もあります。
■節税のために確認したい特例制度や控除
収益物件の売却時には、さまざまな税制優遇措置や特例が利用できる場合があります。使える制度を把握しておくだけで、節税につながる可能性があるため、必ず事前に確認しておきましょう。
1. 居住用財産の3,000万円特別控除
本来、賃貸用の収益物件には適用されませんが、もし一定期間ご自身が住んでいた物件であれば、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度が適用されることもあります。
たとえば、自宅兼賃貸(1階が店舗、2階が住居など)といった物件では、使用割合によって一部控除が可能です。
2. 買い替え特例・交換の特例
事業用資産として認められている収益物件を売却し、一定の条件を満たす物件へ買い替えた場合、「課税の繰り延べ」ができる特例もあります。節税というより、課税時期を先送りする仕組みですが、キャッシュフローへの影響を抑えられるため有効です。
■取得費がわからないと税額が増える?「概算取得費」のリスク
収益物件を長年保有していた場合、「いつ、いくらで買ったか分からない」「契約書類が手元にない」といったケースも少なくありません。このような場合、税務署では取得費を**売却価格の5%**として計算する「概算取得費」が適用されます。
たとえば、5000万円で売却しても、取得費が250万円とみなされてしまえば、譲渡所得は4750万円になり、大きな納税負担が生じてしまいます。
そのため、契約書、領収書、ローン契約書、登記簿など、購入時の資料はできるだけ保管しておくことが重要です。見つからない場合も、不動産会社や司法書士に依頼して調査してもらえる可能性があります。
■売却前にできる節税対策とは?
収益物件を売却する前には、以下の点を見直しておくことで節税の可能性が広がります。
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取得費や譲渡費用の資料を整理する
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節税に関わる特例制度の該当条件を確認する
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所有期間を意識して売却時期を調整する
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税理士と相談し、確定申告時にミスのない処理を心がける
また、法人名義で所有している場合や複数物件を同時に売却する場合などは、さらに税制上の取り扱いが複雑になるため、専門家のサポートを受けることが望ましいです。
■まとめ:収益物件の売却は「税金」まで見据えた判断が重要
収益物件の売却は、売却価格だけでなく、税金まで含めてトータルでの「利益」を見極めることが求められます。税金のしくみや節税のポイントを知っておくことで、手元に残る金額を最大限に高めることが可能です。
スペースエンタープライズ株式会社では、収益物件の売却支援だけでなく、節税を見据えたアドバイスや専門家のご紹介も行っております。不動産の資産価値を正しく見極めた上で、有利な売却を実現したい方は、ぜひ一度ご相談ください。